2016年5月19日
四万十市の山本さんのジャンボタニシ管理
高知県の西南部、四万十市で無農薬米を栽培している山本さんの田んぼを見に行ってきました。
山本さんは8年前に家族で四万十市にIターンして就農しました。
耕作放棄されていた田んぼを復活させて無農薬で米作りをしています。
メインの品種はコシヒカリです。
山本武史さん
田んぼを見ると水がほとんどありません。
山本さんによると「この田んぼは今年ジャンボタニシが多いので、タニシの活動を抑えるために田植え直後から敢えて水を切っている」とのことでした。(カラカラにするのではなく超浅水にしている)
たしかにジャンボタニシが多いです。
ですがこの水管理のおかげでジャンボタニシに稲が食べられて欠株になっているところはそれほど目立ちません。
敢えて水を切っている田んぼ ポツポツした丸いのが全部ジャンボタニシ
ジャンボタニシはスクミリンゴガイとも言って、80年代に食用として輸入されたものが野生化して日本の各地(主に西日本)に広がった外来種です。
高知県でも高知市や南国市、四万十市の平野部に広がっています。
田植えの初期のころからジャンボタニシがいる田んぼでは、まだ小さくてやわらかいころの稲が食べられるので害虫扱いです。
ただジャンボは稲だけでなく田んぼに生えてくる雑草も食べます。
そのためジャンボタニシの活動をうまくコントロールできれば、田んぼの雑草を食べてくれる除草機代わりになります。山本さんだけでなく、ジャンボのいる田んぼではほかの高生連の生産者も除草に利用しています。
ジャンボタニシをコントロールするためのポイントは、田んぼの均平化と水管理です。
ジャンボは自分の殻が水から露出すると食べる活動をやめて土にもぐりこみます。山本さんが田んぼの水を切っているのは、まだ小さい稲を食べられないようにジャンボの活動を止めるためです。
田んぼが均平化されていないと、水を切った時に深い所に水が残ってそこの稲はジャンボに食べられてしまい、逆に浅くて土が水から露出する所では雑草がたくさん生えてしまいます。
畦草を食べるジャンボタニシ ジャンボに稲を食べられて欠株が多いよその田んぼ
山本さんは田植えから刈り取りまでの間に最低3回はあぜ草刈りをするそうですが、刈り飛ばした草はわざと田んぼに落とします。
その草はジャンボタニシのえさ代わりになります。
高生連の生産者のなかには、田植えから数週間の間は田んぼにキャベツの外葉などの野菜くずをジャンボタニシのえさとして田んぼに入れる人もいます。そうしてジャンボによる稲への食害を減らしています。
稲が分けつして大きくなると、もうジャンボタニシに食べられることはありません。
この田んぼは田植えしてから約3週間経ちます。一晩水を貯めているだけでも、夜の間にジャンボタニシが稲を食べ始めてしまうそうです。
田んぼが乾きすぎないよう、天気予報と土の状態、稲の様子を観察しながら、昼の間は小まめに水管理しています。
山本さんの無農薬米はこうして育てられています。