かつて有機農業は一つの運動でした。
でも「有機農業運動」なんて、もう誰も言わなくなってしまいましたね。
農薬と化学肥料に頼り切ったよる農業を、生産者と消費者の関係を、自然のサイクルやリズムから離れていく我々の生き様や社会の有り様を、そんなことをひっくるめて問い直そうと始まったはずの運動でしたが、今や求められるのは「有機JASの認証を受けてますか?」
かくて“運動”は“物”になりました。
でも、私は有機(オーガニック)とは単なる物ではなく、一つの生き方であり考え方だと思っています。自然のサイクルに配慮した永続性のある暮らしや社会を作っていく生き方です。
そして自然のリズムに耳を傾け、自然の営みに調和した豊かさを希求する考え方です。
有機農業運動の投げかけたテーマは、高知という田舎に居ても色んな形でより軽やかに、よりダイナミックに広がっているように感じます。
例えば、毎週土曜日に生活市として開かれているオーガニックマーケット、高知に自然な暮らしを求めてやって来るⅠターン組みの生業、単に無農薬ではなく生きものを生かし利用する有機農業、街中や森の中にもあるオーガニックなレストランやカフェ、堆肥センターを核にした町ぐるみのサイクル社会作り、在来野菜の見直しや種子の交換等々。“オーガニックムーブメント”とでも言いましょうか、そんな豊かさを伴に楽しみながら育んでいく、そんな時代が始まっているのだと思います。
私達が何を選び、何をどのように作り、何をどのように食べ、使っていくのか、そんな日常こそが私達の今を変え、社会を変え、未来を作っていくのだと思います。
早いもので高生連も会社設立以来、四半世紀が過ぎました。我々はこれまでもこれからも、設立時の想いそのままに“物”を送り続けます。物は雄弁です。物を通して作り手の想いや生き様を伝え続けます。そして高知の“オーガニックムーブメント”の風を送り続けます。