2024年7月9日
大正時代から続いて5代目の粉屋さん~北川製粉所~
こんにちは!すっかり暑くなって、セミの声も聞こえ始めましたね。
あ~こんな日には、冷えっ冷えのわらび餅・・食べたいなぁ~
わらび餅と言えば、きな粉・・・!!
と、いうわけで、高生連の自慢の「きな粉」と「そば粉」の生産者様の
『北川製粉所』さんに伺って来ました。
●地域の伝統産業
北川製粉所は、高知県高岡郡越知町にあり大正時代から続いている粉屋さんです。
現在、お店を主に切り盛りしている北川毅さんで5代目となります。
昔はこの地域に沢山あった粉屋さんですが、今では1件だけになってしまいました。
5代目の毅さんは、お祖母様である多代子さんに大豆煎りや粉ひきの技術を教えて頂いたそうです。
現役の頃の多代子さんの指導はけっこう厳しかったんですよと毅さんは笑います。
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多代子さんは、毎日ご飯にきな粉をかけて食べているそうで、お肌もつやつやで本当にお綺麗でした。毎日の大豆イソフラボン習慣と、長年の間現役で炭火の釜煎りをされて来た遠赤外線の効果!?もあるのかもしれません。
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このような専用の釜と、竹竿で大豆を煎ります。
高温で一定の時間で煎り上げる事で、香りが飛んでしまわず芳ばしい仕上がりになるそうです。夏場の作業はかなりハードそうですね!
ちなみに、写真手前の木樽も1代目からずっと使っている物で、
煎りあがった大豆を入れていきます。
木樽で自然に熱を冷ます事で、適度な水分に蒸発させることが出来るそうです。
受け継がれる技を感じます。
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●高温の釜炒りが高い薫りを醸し出します
釜にくべる薪も1種類では無く、端材を割ったものと
雑木を割ったものを用意し、計算してくべて行きます。
この使い分けによって火の強さを加減しています。職人技です!
薪の調達も毅さんの大切な仕事で、特に入手しにくい上に欠かせない雑木の薪は、倒木や伐採があるとの連絡が入ると昼夜を問わず引き取りに行くそう!
日頃からの地域でのコミュニケーションが欠かせません。
毅さんの奮闘をいつも見守っている多代子さんは、「本当に良くやりゆう。皆とも仲良くやって、良ぅやりゆう」と、温かく頷きます。
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●大豆煎り作業を体験
煎り作業の終盤に火が穏やかになった頃、私も作業を体験させて頂きました!
大豆を砂にくぐらせて熱で包んで煎って行きます。
手慣れた毅さんのリズミカルな動きはやはりプロの技。見た目以上に力が要ります。
釜を傷つけないように、焦げないように、、ドキドキ!!
二の腕が引き締まる思いでしたっ(*''▽'')
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●自慢のきめ細かさです
煎った大豆は、一日かけて自然に冷ました後、きな粉用の電動の石臼を使ってゆっくりゆっくりと挽きます。
時間はかかりますが、この「ゆっくりと」が驚くようなきめ細かさに仕上がっている秘訣です。
『北川製粉所のきな粉は、本当に滑らかで美味しい!他のきな粉と違うのはなぜだろう?不思議だな!』と、前々から思っていたのですが、、、時間をかける事が秘訣だったとは~!
大正時代から使っている古い器械のため、故障した時の備品の調達も一筋縄ではいきません。日頃から、ご縁を大切にして、近所の閉業した粉屋さんから器械をまるごと譲り受けたり、全国に製造している会社があると聞くと、フィルターなどの予備備品を調達しに足を運んでまとめて入手しておくなどの工夫をされています。
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●原材料は全て国産です
以前は大豆もそば粉も近隣の山間地域で生産された原材料がこの集落の粉屋さんに集まって来て製粉されていましたが、近年では山間部での原料生産者はグッと減ってしまったそうです。他県の大規模農家では助成金を利用できるが、山間部の小規模農家では対象にならないなどの実情もあると言います。
それでも、消費者の方や食品製造業の方々からの信頼は厚く、キビ(トウモロコシ)や黒豆、小麦など様々な原材料を製粉しています。 きな粉とそば粉も、地域の原料は生産者が居なくなってしまいましたが、国産原料に限定して粉の製造を続けています。
遺伝子組み換えなどが懸念される昨今ですが、安心の国産原料で風味豊かな北川さんのきな粉はファンが多く、わざわざ越知町の工場まで直接買いに来られる方もいらっしゃるくらいです。
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●山あいのソウルフード
先代の97歳になる多代子さんに、そば粉の美味しい食べ方を伺ってみました。
すると、「私が子供の頃は『おばやんそば練ってー!』『ちょっと待ちよ、ちゃん茶が沸かんきねぇ』言うてね・・・」と、多代子さんの懐かしい思い出に笑みがこぼれます。
そば粉をお茶で練ってトロトロにしてオヤツにしていたとの事。
―作り方―
- そば粉に最初に少し水を入れて練り、粉を馴染ませておく。
- 塩少々とグラグラに沸いたお茶(どんな種類でもよい)を入れて練る
出来上がり♪
きっと、細かい分量は“匙加減”なのだろうと思います。ぜひ、作って食してみたいなと思いました。
何かと時間に追われがちな現代社会ではありますが、こうして時間をかけて大切に守られ育てられ、受け継がれている食がある。
そう思うと、お話を伺っているこちらまで、文化に命を支えられているような心強さを感じました。
懐かしいエピソードと共に、親から子へ、子から孫へと受け継がれる暖かさを、商品と共に味わって頂けると嬉しいです。
北川製粉所さんは、昨年までお米屋さんとの兼業で営業されていましたが、本年から製粉業のみに絞って注力される事になりました。ぜひぜひ全国からの応援をどうぞよろしくお願い致します。
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